アドラー心理学⑲他者信頼のまとめ◇信じるとはどういうこと?

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    今日のテーマ

    今日は他人を信頼する話の最終回よ。

    アドラー心理学の最終目標・共同体感覚の2つ目のピースがこれで揃うわ。

    『他者信頼』とは、他人を無条件に信じることだったな。

    そうね。これを理解する為に、必要なキーワードが3つあったわね。

    無条件・信じる・尊敬

    今日はその内の「信じる」について解説するわよ。

    信じるっていう行為がどんなものか、具体的に掘り下げる感じね。

    その後に『他者信頼のまとめ』をしていくからね。

    信じるとは期待すること

    ・仕事を怠ける人
    ・勉強しない子供


    前回と同じ例を出して説明するから、忘れていたら前回を思い出してね。

    仕事を怠ける人や、勉強しない子供を信じるには、まずは相手を尊敬する必要があるんだったな。

    そうね。
    相手の生き方を大事にする尊敬を、分け隔てなくみんなに対して行えば、

    無条件に他人を信じる『他者信頼』が出来るって理屈だったわ。

    信じるって言葉は、ありふれてて色んな意味を持ってるよな。

    アドラー心理学での信じるの意味を教えてほしいぜ。

    「信じる」というのが、具体的にどういう行動なのか?

    私は「期待する」という言葉に置き換えた方がわかりやすいと思うわ。

    他人に期待する‥‥?

    「信じる」を「期待する」に置き換えてみましょうか。

    「相手がもっと真剣に、仕事に取り組むことを期待する」

    「子供が自力で努力して、成長することを期待する」

    たしかに違和感はないな。

    でも、こっちの期待に、相手が応えることを強制してしまったら、相手の課題への介入になっちゃうわ。

    『相手の正しさ・そのひとらしさ』を無視した強制は反発される。

    当然そうなるな。

    じゃあ、放置するしかない?

    うーん‥‥ 放置してしまったら、相手の主張と、自分の主張との間の距離が縮まらないと思うぜ。

    そうよね。
    相手を放置するのは、自分の正しさを主張せずに我慢することになるわ。

    これでは『自分らしさ』を無視することになっちゃうわね。

    そうだな。他人に合わせてばかりの、不自由な人生はイヤなんだぜ。

    自己犠牲は続かないし、お互いが幸せにならないと意味がない。

    相手だけじゃなく、自分だけでもなく、二人で一緒に幸せになるには、

    お互いの正しさを認め合う『態度』が必要になるわ。

    でも、そういう態度を、相手に強制するのは介入になるからできない‥‥

    まどろっこしいけど、他人と良い関係を作るには必要な考え方だよな。

    前回の話では、そこで相手の立場を理解しようとする、『共感』を使って近づくべきだと言ってたんだぜ。

    自分の主張をわかってもらいたいのなら、まずは先に、相手の主張を理解する努力をするべきね。

    怠ける人には怠ける理由が、勉強しない子供には勉強しない理由がある。

    自分と相手の立場を入れ替えて想像して、その理由を理解しないとな。

    その通りよ。理由や目的を、まずは把握しないといけない。

    魔理沙もだいぶ『共感』がわかってきたみたいね。

    何回も話題に上ってるし、横の関係や尊敬につながる大事な行動だからな。

    そうね。共感はとても重要だわ。

    アドラー心理学では、他人との距離を縮めるにはこれしかないのよ。

    「お互いの正しさを認め合う」っていうのは、自分だけでは出来ない。

    だから、まずはこちらから、相手の正しさを理解しようとするんだな?

    そうね。「勉強しろ!」って言う前に、子供が持つ『勉強しない正しさ』を理解しないといけないのよ。

    そして共感ができたら、次のステップの『尊敬』に進めるわ。

    相手がそのひとらしく前向きに、
    成長していけるように気づかうこと


    これが『尊敬』という行為だったな。

    共感は頭の中でやることよ。

    共感して得られた理解を、相手に見える形の行動に移すのが尊敬ね。

    ここまで来れば最終段階の「信じる」に進めるのよ。

    すべてのひとを尊敬できれば、無条件に他人を信じられる‥‥

    なんか前回までのおさらいになってきてるな。

    「信じる」がどういう行動なのか、まだ結論を聞いてないぜ。

    そろそろ話を戻すわね。

    私は、信じる期待するに置き換えられると言ったわね。

    信じるとは期待すること

    じゃあ相手に何を期待するのか?

    自分の正しさを認めてくれること

    これを相手に期待するのが「信じる」という行動なのよ。

    ああ、なるほど。そういうことか。

    お互いの正しさを認め合うために、まずはこちらから相手の正しさを認めようと努力する。

    そして、その人らしく成長できるように気づかう。これが尊敬だな。

    そして、相手もこちら側の正しさを認めてくれることを期待する。

    これが「信じる」ということだな。

    尊敬ができていなかったら、信じることを簡単にあきらめてしまうわ。

    相手の正しさを否定して、自分の正しさを押し付けてしまう。

    介入する方向に行っちゃうのよね。

    だから相手を信じ続けるには尊敬が欠かせないのよ。

    たしかに、自分が正しいと思うことを相手に強制できないとしたら、

    相手が歩み寄ってくれることを「信じる・期待する」しか道はないな。

    難しいことだけど、あきらめずに期待し続けるしかないの。

    相手を尊敬できれば、自然と出来るようになるはずよ。

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    尊敬して、尊敬される

    「信じる」がどういう行動なのかだいたいわかったぜ。

    前回の内容に、この「信じる」の話を付け加えれば『他者信頼』の全体がわかるんだな?

    そうよ。
    他者信頼を一言でまとめてみるわよ。

    どうぞどうぞ。

    すべての人を尊敬して、
    自分も尊敬されることを、
    あきらめずに期待し続ける。

    これが『他者信頼』よ。
    他人を無条件に信じるという行動ね。

    ・・・

    違う言葉で言い換えてみましょうか。

    誰に対しても、裏切られることを恐れずに、自分の正しさを認めてくれることを、期待し続ける。

    ‥‥なんかストーカーみたいな、粘着質な話になってきたな。

    ストーカーは、自分が正しいと思うことを相手に押し付けるのよ。

    いわば介入マンね。

    「オレがこんなにお前を愛してるんだから、お前も愛情を返すべきだ」

    「そんな男はやめておけ。オレの方がお前を理解している」

    みたいにね。

    うう気色悪いこと言わないでくれ。

    まぁたしかに、相手を尊敬するのが他者信頼なんだから、ストーカーにはなりようがないか。

    尊敬するというのは、自分の正しさを押し付けるのとは真逆な行為よ。

    相手が、そのひとらしく前向きに、成長できるように気づかうんだから。

    ストーカーはそんな事してくれない。

    あーなんか今、ストーカーの身勝手さを想像してたら、「無条件」の意味がよくわかってきたぞ。

    無条件に他人を信じようと思ったら、相手のどんな反応も、受け入れる必要があるんじゃないか?

    その通りよ。相手がどんな反応をしても、それはそのひとらしさなの。

    自分と相手の、どっちが正しいか?なんて関係ない。

    相手は「そのひとらしく」反応してるだけなんだから。

    自分に都合の悪い反応でも、そのひとらしさだと思って受け入れないといけないんだな‥‥

    まさしく、おっしゃる通りよ。

    他人は、自分の期待を満たすために生きているのではないからね。

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    他者信頼のまとめ

    そろそろ『他者信頼』の最終的なまとめに入るわね。

    まずは、他者信頼が、具体的にどういう行動か聞いてもいい?

    しつこく出てきたから大丈夫だぜ。

    他者信頼とは、他人を無条件に信じることだな。

    そのために必要なことは前回に話したわよね。

    そうだな。まずは課題の分離をして、自分と相手の『正しさ』を切り分けないとな。

    そして「自分が正しい」という思い込みを捨てるんだぜ。

    いったん自分の正しさから目を離さないと、相手の『正しさ・らしさ』に関心が向かないからね。

    自分の方が正しい、という思い込みを捨てたら、次は『共感』に進むぜ。

    相手の持つ『正しさ・らしさ』を知ろうと努力する。

    相手の立場を想像する。

    相手に関心を持ち、知ることから共感は始まるわ。

    共感の次は『尊敬』に進むぜ。

    共感してわかった、相手の『正しさ・らしさ』を否定せず、大事にする。

    その通りね。

    この尊敬までの流れをみんなにやれば、他人と対等な『横の関係』が築けるんだぜ。

    みんなにやれば、というのがポイントだな。

    自分の正しさを捨てて、どんな相手にでも平等に接しなかったら「みんなにやる」なんて無理だからな。

    そうね。他者信頼の出発点は、自分の正しさを手放すことだわ。

    この尊敬までの流れでは、相手のことばかり考えてるな。

    うん。すべての人を尊敬できたら、あとは相手を「信じる」だけよ。

    『信じる』とは『期待する』こと。

    すべての人を尊敬して、期待する。

    自分も尊敬されることを期待する。

    そう。ここで初めて『自分らしさ』や『自分の正しさ』が出てくるの。

    すべてのひとを尊敬して、自分も尊敬されることを、あきらめずに期待し続けるのが他者信頼。

    他人は自分の期待を満たすために生きてるんじゃない。

    でも、期待し続ける‥‥

    なんかこうやって見ると、他者信頼って、けなげな行動だよなぁ。

    たしかにね。他人と仲間になりたかったら色んな努力が必要なのよ。

    でもここまで来れば、他者信頼の目的も達成できるわ。

    他者信頼の目的?

    お互いに尊敬し合える関係を
    他人との間に作ること

    これが他者信頼の目的よ。

    自分も含めて、みんなで幸せになるには、この他者信頼しか方法はないわ。

    なるほどな。価値観の違う人たちが集まる共同体で、みんなでうまくやるには、そこを目指すしかないのか。

    そうなの。難しいことだけどね。

    自分の正しさを捨て、相手の正しさを知り、それを大事にして、相手も同じようにしてくれる事を期待する。

    言葉にすると簡単なんだがなぁ。

    ふふ、そうね。とりあえず他者信頼の解説は、これで終わりよ。

    次回からはいよいよ『他者貢献』について解説していくわ。

    自己受容・他者信頼に続いて、共同体感覚のラストだな。

    お手柔らかに頼むんだぜ。

    次回に進みます

    嫌われる勇気の徹底解説

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