嫌われる勇気の全体像
アドラー心理学の入門書
さぁ、今日から嫌われる勇気の徹底解説を始めるわよ。
これから読もうとする人や、読んだけどイマイチ理解できなかった人。
そういう人に向けての解説になるわ。
今回はザックリと「全体像」を把握していきましょう。
私みたいな初心者でも大丈夫か?
うん。 できるだけ専門用語は出さないようにするわね。
ちなみに私は日本アドラー心理学会の会員で、アドラー心理学を6年間、実践・研究しているわ。
さっそく内容に入っていくわね。
他人との向き合い方を考える
まず、この本の構成ね。
第一夜から第五夜まで、5つのチャプターで区切られてるわ。
内容は、アドラー心理学の入門書として「決定版」とも言われてるわね。
読んでない私には、何が書かれてるのかさっぱりだな。
わかりやすく言い直すとこうなるわ。
・人は変われる
・この世のすべての問題には、
他人が関係している
・他人との向き合い方の出発点
・他人との向き合い方のゴール
・幸せに生きるために必要なこと
他人の話が多く出てくるんだな。
そうね。まず第一夜では、読者に対して「あなたも変われますよ」というメッセージが送られるわ。
「この本の内容は誰でも実践できる」というわけね。
なるほど。
その後に他人の話が始まるんだな。
そう。 第二夜から第四夜までは、
他人との関係がテーマになるわ。
この世のすべての問題には、
他人が関係している
つまり人間の幸せも不幸せも、すべて
他人との向き合い方で決まるのよ。
その他人との向き合い方の、出発点からゴールまでを、第三夜・第四夜で教えてくれる感じね。
‥‥人間の幸せも不幸せも、すべて他人が関係している‥‥??
イマイチ納得できない話だぜ‥‥
でしょうね。いきなり納得出来たらすごいと思うわ。
他人が関係しないような、個人的な幸・不幸もあると思うんだぜ。
詳しくは第二夜の解説で話すけどね。
軽く説明しておくと、魔理沙が悩むのは、他人を意識するからなのよ。
お金・恋愛・健康・容姿・知能‥‥
人生の悩みや問題となるものは全て、
「他人と比べて自分が劣っている」と感じることからスタートするわ。
つまり「劣等感」がすべての悩みの元となるのよ。
‥‥劣等感が悩みの元か‥‥
私が悩んだりするのは、心のどこかで他人と比べちゃってるからなのか?
そう。相手が身近な人でなくてもね。
魔理沙は無自覚に比較してるのよ。
テレビやネットで四六時中、いろんな他人の情報に触れているわよね?
美人や金持ちや社会的地位の高い人。
そんな人たちと自分を比較して、劣等感まみれになってるのが現代人ね。
病気で悩むんでしまうのは、健康な他人と比較するからよ。
家が狭いと文句を言うのは、広い家に住む他人と比較するから。
「他人をどう意識するかで、幸せにも不幸せにもなる」というのが第二夜での主張なのよ。
ふむ。
なんとなくは分かるんだぜ。
今はなんとなくでいいわよ。
また詳しく話すからね。
次の第三夜では、そんな他人との向き合い方の出発点となる、重要なテクニックが紹介されるわ。
「課題の分離」というテクニックね。
課題というのは「やるべきこと」という意味よ。
自分のやるべきことと、
他人のやるべきことを、
切り離して考えるのが課題の分離ね。
やるべきことを切り離す?
これも解説しだすと終わらないから、簡単に説明するわね。
例えば魔理沙の親が、結婚しろってうるさく言ってきてウザいとするわ。
これは、魔理沙の結婚が「誰の課題なのか?」ということを、ハッキリさせれば解決する問題よ。
結婚して良い思いをするのも、悪い思いをするのも魔理沙だわ。
だから魔理沙の結婚は魔理沙の課題。
親が何を言ってきても「結婚は私が決めることよ、口出ししないで」と切り捨ててしまえばいいわ。
えー なんか冷たいんだぜ。
親は私の将来を心配して、そう言ってるんじゃないのか?
そうでしょうね。
でも結婚は魔理沙の課題よ。
しつこく言ってくるとしたら、それは余計なおせっかいだわ。
親の言う通りに急いで結婚して、幸せになれないどころかDVされても、親は責任とって解決したり出来ないわ。
まぁ、それはそうだが……
親が子どもの課題に口出しするのは、子どものことを、自立した一人の人間だと認めていないからよ。
自分と対等な人間として子供を見る。
そうすることから、子供の自立は始まるのよ。
なんかご立派な話になってきたな。
もっともっとご立派な話に進んで行っちゃうから、ここらで止めとくわね。
とにかく、自分と他人の課題は切り離して考えないと、不自由で生きづらい人生になりかねない。
そういった「自由を守る話」が第三夜のテーマだわ。
本のタイトルの「嫌われる勇気」の話も、ここで出てくるからね。
たしかに「嫌われる勇気」って、自由とか不自由とかに関係ありそうだな。
ここは一番の見せ場だから、第三夜の解説の時に詳しく話すわね。
人間の幸せとは?
第三夜では、他人との関係で、不自由にならない為の行動が示されたわ。
どちらかというと自分を守る話ね。
第四夜からは、いよいよ他人との、積極的な関わり方について語られるの。
課題の分離で切り離した後、どうやって他人に近づいていくのか‥‥
ふむ‥‥
たしか第四夜は、他人との向き合い方のゴールが示されるんだったな?
その通り。
第三夜は対人関係の出発点、第四夜はそのゴールが示される。
それが共同体感覚よ。
まぁ当然わからないな。
うん、説明するから大丈夫よ。
アドラー心理学の最終目標は、この共同体感覚を身に付けることなの。
共同体感覚と、人間の幸せを絡めて語られるのが第四夜・第五夜ね。
なかなか壮大な話だな。アドラー心理学の最終目標と人間の幸せか。
今日は全体像の回だから、さらっと解説するわね。
「人間はひとりでは生きられない」
このことは同意してもらえる?
んん? どういうことだ?
他人が作ってくれたものに頼らずに、自給自足で魔理沙は生きられる?
なかなか想像するのが難しいが、朝起きたら外で素っ裸ってことか?
まぁそうね。
住む所もベッドも布団もパジャマも、魔理沙が作ったものじゃないからね。
山奥か無人島で一人って感じね。
それで生きていくのは難しいな。
病気になったりしたら、すぐに死んじゃいそうだぜ。
そうよね。
ひとりで病気になって寝込んでたら、食料も水も尽きちゃうわね。
何が言いたいかというと、人間はひとりでは生きていけないから、常に他人を必要とするってことなの。
わたしたち人類は大昔から、協力し合ってなんとか生き延びてきたからね。
それは感覚的にわかるな。
ひとりは寂しくて心細いんだぜ。
助け合って生きていこうと思って、人が集まると共同体が出来上がるわ。
そして共同体感覚というのは、その共同体の中に「自分の居場所がある」という感覚なのよ。
共同体の中に自分の居場所??
何かに例えて教えて欲しいぜ。
わかりやすい例だと会社かしらね。
基本的には、お金を稼ぐために人が集まって、出来上がるのが会社という共同体ね。
会社には様々な仕事があるわね。
販売業だったら、仕入れたり、売ったり、人を雇ったり、店舗を作ったり。
会社という共同体を維持するには、みんなで協力して「仕事」をこなさないといけないわ。
そりゃそうだな。
誰かがサボったらまずいんだぜ。
ひとりで全部は出来ないから、仕事は分担されるわね。
魔理沙が働く時には、魔理沙に役割が与えられるわ。
その役割をしっかりこなすことで、得られるのが「居場所」ってわけね。
私はこの共同体の中で、
この部分を担っている。
共同体の役に立っている。
だから私はここに居ていいはずだ。
みたいな感じね。
なるほど。
共同体の役に立つと居場所を感じる。
それが「共同体感覚」か。
そう。
今日は単純な例しか話せないけどね。
人間は、単体では無力だから、なるべく集まろうとする。
集まると、その中で自分の居場所が必要になる‥‥
そうそう、そんな感じよ。
人間は居場所を得ることで、安心や幸せを感じるの。
そのために重要なのは「役に立つ」ということね。
共同体の役に立つ。
他人の役に立つ、ということ。
「他者貢献」と呼ばれる行為よ。
他人の役に立つこと・他者貢献。
他者貢献して、居場所を作って、幸せに生きる‥‥
めちゃくちゃ深い内容になるから、第四夜・第五夜の解説は覚悟してね。
嫌われる勇気の全体像
今日話した内容をまとめるわね。
最低限の解説しかしてないけど、雰囲気だけでも掴んでくれたら嬉しいわ。
おう、なんとなくは掴めたんだぜ。
人は変われる。
本の内容は誰でも実践できる。
他人との関係は大事だから、まずはわかりやすいように自分と切り離す。
自分と他人を切り離して考える。
切り離した後は、共同体感覚を目指して他人と向き合っていく。
共同体感覚を得て幸せに生きるには、
「他者貢献」が必要になる。
ありがとう。
ざっくりとした流れはそんな感じね。
「嫌われる勇気」という本には、人生を変えてくれるような重要な話がたくさん詰め込まれているわ。
細かい部分を追い出すと切りが無いから、全体の流れを雰囲気で掴んだ上で、次回からの解説に進みましょう。
わかったぜ。
最後に聞きたいんだが、アドラー心理学を学ぶメリットってどんな事だ?
そうね‥‥ 色々あるけど、今ひとつ話すならこれかしらね。
採るべき態度をハッキリ決められる
取るべき態度?
他人に振り回されない方法がわかるようになるから、自分らしい生き方が出来るって感じね。
自分らしく生きる‥‥
大事なことなんだぜ‥‥
そう、少なくとも私は人生が望む方向に変わったわ。
嫌われる勇気を読むだけでも、人によっては人生を変えられる。
次回から第一夜の解説を始めるわね。