アドラー心理学⑳幸せに生きる為に必要なこと◇他者貢献とは?

    目次

    今日のテーマ

    今日のテーマはメチャクチャ重要よ。
    『人間の幸せ』について解説するわ。

    ん? 今日は、他人に貢献する話をするって言ってなかったか?

    言ったわね。アドラー心理学では、他人に貢献する話と、幸せについての話はセットなのよ。

    ありのままの自分を受け入れる
    『自己受容』

    無条件に他人を信じる
    『他者信頼』

    それらに続いて、アドラー心理学の最終目標、共同体感覚のラストが他人に貢献する話ね。

    最終目標のラストまで来ると、幸せみたいな大きな話と繋がるんだな。

    そうね。人間の幸せと、他者貢献をセットで解説するわ。

    ふぅん。じゃあ早速、気になることをパパっと質問していくんだぜ。

    3段階の貢献

    『他者貢献』って、具体的にはどういう行動なんだ?

    ひとことで表すならこれね。

    見返りを求めずに、他人の役に立つ

    他人の役に立つとどうなるんだ?

    自分は共同体の役に立つ人間だ、という『貢献感』を得られるのよ。

    貢献感が得られると、どんな良いことがあるんだ?

    自分には能力があるって感じられるから、『自信』がつくのよ。

    自信は、自分を変えるための『勇気』に直結するわ。

    そういえば『自己受容』の話の時に言ってたよな。

    『自信』がない人は、ありのままの自分を受け入れるのが難しいって。

    その通りね。他者貢献ができれば、自己受容しやすくなるのよ。

    そして、目標である共同体感覚に、さらに一歩近づくことができるわ。

    他人に貢献できれば、自分を変えるための『勇気』も手に入るんだな。

    そうよ。アドラー心理学では、何をするにも勇気が必要になるわ。

    原因論ではなく目的論で考えるようにする時も。

    縦の関係から横の関係に生き方を切り替える時も。

    自分を受け入れる時も、他人を信頼する時も、課題に立ち向かう時も‥‥

    courage

    何かを変えたり始めたりする時は、必ず『勇気』が必要になる。

    そういう話が出るたびに「勇気が出ない人はどうしたらいいんだ?」って気になったぜ。

    当然そこが気になるわよね。

    その質問に対しての一番の答えが、『他人に貢献すること』なのよ。

    共同体感覚を身に付ければ勇気を補充できるって解説してきたんだけど、

    他者貢献は、共同体感覚の中でも、最も直接的に勇気が得られるのよ。

    自己受容にもつながるし、勇気も得られるんだから、『貢献感』ってすごく大事なんだな。

    アドラー心理学の思想は、貢献感を得るために存在する、と言っても過言じゃないかもね。

    今日までの話は、すべてこの貢献感につながってくるわ。

    見返りを求めずに、他人の役に立つことができれば、その大事な貢献感が得られるんだな?

    簡単に言うとそうね。

    まぁ、言葉にすると単純に聞こえるけど、中々そううまくはいかないわ。

    他人に貢献しようと思ったら3つの段階があるのよ。

    task

    仕事・交友・愛
    この3つの段階よ。

    仕事、交友、愛って‥‥
    それ『人生の課題』じゃないのか?

    おお、あまり触れてこなかったのに、よく覚えてるわね。

    ちょこちょこ話題にあがってたぜ。

    たしか、共同体感覚を身に付けつつ、勇気を補充しながら、

    この『人生の課題』に立ち向かわないといけないって聞いた気がするぜ。

    そうね。幸せに生きるためには、どうしても避けられない課題があるわ。

    それがこの『仕事・交友・愛』という3つの課題なのよ。

    共同体感覚を身に付けつつ、人生の課題に立ち向かい、幸せに生きる‥‥

    逆に考えると、この3つの課題を乗り越えないと幸せになれないのよ。

    そうなのか?幸せなんて、人それぞれだと思うんだけどな‥‥

    幸せとは死から遠ざかること?

    たしかに『幸せ』って、いろんな意味を持ってしまってる言葉よね。

    「幸せって何だと思いますか?」って聞いて回ったら、みんな違う答えが返ってきそうだわ。

    そうだぜ。あやふやだぜ。

    でもアドラーは『幸せ』について、はっきりとした考えを持っているわ。

    人間なら誰もが持っていて、心の奥底に秘めて見ないようにしてる恐怖。

    これを減らすことが『幸せ』につながる、と考えてみましょうよ。

    みんなが持っている恐怖?

    死ぬことへの恐怖よ。

    あー、それは誰でも怖いだろうな。

    人間にとって、死ぬことが一番の不幸だと考えれば、幸せがどういうものかわかってくるわね。

    うーん‥‥ こんなこと言うと平和ボケだって怒られるかもしれないが、

    わたしは『死』を身近に感じたことなんて、ほとんど無いんだぜ‥‥

    まぁ、今の日本人だったら、ほとんどの人がそういうリアクションになるでしょうね。

    戦争もしてないし、今日食べる物にも困る、という人は少ないかもね。

    そうだな。生活保護もあるし、生きていく事だけを考えるなら、どうにかなる人がほとんどだと思うぜ。

    日本は豊かで安全な国だからね。

    ‥‥まさか、日本人はみんな幸せだ、なんて言うんじゃないだろうな?

    たしかに食べる物や住む所にも困る人は、世界を見渡せば大勢いるが‥‥

    そう言って、魔理沙が今日から幸せを感じて生きていけるなら、それでもいいんだけどね。

    残念ながら、そうじゃないわよね。

    うん。残念ながらな。

    死の危険を身近に感じなかったら、それだけで幸せっていうのは極端すぎる気がするぜ。

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    ひとりぼっちは危険

    もちろんアドラーの主張は、そんな単純な事ではないわ。

    人間は、これまでの歴史の中で『死』からなるべく遠ざかる為に、様々な努力をしてきたわよね。

    食べる物・飲む物・着る物・住む所なんかに困らないように、文明を発展させてきたわ。

    そうだな。

    命をおびやかすような獣も、身の回りから排除した。

    動物を狩ったり、草や木の実を食べて生きていた時代から比べたら、人間はとても安全になった。

    死を感じることが少なくなった。

    そして、その安全な状態が続いて、それが当たり前だと感じている。

    今のわたしがそんな感じだな。

    わたしも同じよ。安全なのが当たり前になっている。

    ここで考えてみて欲しいの。

    安全になったことによって、人間の心の中から、大昔にあった恐怖は消えたんだろうか?

    飢え死にする恐怖。
    凍えたり熱射病で死ぬ恐怖。
    獣に殺される恐怖‥‥

    うーん‥‥ 残ってるような、残っていないような‥‥

    ふふ、わからないわよね。
    じゃあこういう恐怖はどうかしら?

    この広い世界の中で
    ひとりぼっちになってしまう

    それは飢え死にする恐怖よりイメージしやすいな。

    孤独になることへの恐怖は、わたしの心の中に絶対あると思うぜ。

    ひとりは寂しいし、心細い。

    この『孤独への恐怖』は、大昔から人間が持っていた恐怖とつながっているのよ。

    ‥‥どういうことだ?

    大昔、人間はひとりでは生きていけなかったわ。

    自分より強い動物からは逃げて、弱い動物を狩る。

    食べ物が尽きたら、病気でも狩りをしないといけない。

    住む所も武器も自分で作る。

    一瞬でも気を抜いたり判断を間違えたら、天候や獣や病に殺される。


    こんな状況を抜け出そうと思ったら、手段はひとつしか無いわよね?

    ‥‥他人と協力する?

    それしかないわよね。

    何百万年もの経験から、人間は心の奥底で、『ひとりで生きること』の危険性を知っている。

    群れや集団から見放されたら、死が待ち受けていることを知っている。

    だからひとりになるのを恐れる。

    死にたくないから、他人と助け合いたいと願い、他人との共存を望む。

    ・・・

    まぁここまで考えこまなくても、赤ちゃんの時に、ひとりで生きる恐怖は味わってるはずだわ。

    あー、そうだな。赤ちゃんは絶対にひとりで生きていけないぜ。

    ひとりぼっちが怖くて、泣きわめいて親を呼んだりしただろうな。

    大人になった今でも、山奥で一人でサバイバルなんて無理だわ。

    もし一人で生きられたとしても、それは大勢の他人が作ってくれた、モノや環境に頼っていて、ただの勘違いよ。

    完全にひとりぼっちで、頼れる仲間がいなかったら無理だな。

    すぐ死んじゃいそうだぜ‥‥

    ちょっと理屈っぽい話が続いちゃったわね。結局わたしが言いたいのはこういう事なの。

    人間はひとりでは生きていけないから、他人と協力して生きることを、心の奥底で強く望んでいる。

    その考え方、なんとなくわかったぜ。

    ありがとう。
    ここまでの話に同意してくれたら、他者貢献の話に戻れるわ。

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    貢献感が幸せにつながる

    えーっと‥‥ 他人に貢献するには、3つの段階があるんだったな?

    仕事・交友・愛の3段階ね。

    この3つの段階の貢献は、人生の課題に直結しているのよ。

    task

    『人生の課題』は、生きていく上で避けられない課題だって言ってたな。

    乗り越えないと幸せになれないって。

    そう。逃げずに立ち向かって、乗り越えて、幸せになるのよ。

    どうやって乗り越えればいいんだ?

    その乗り越え方が『貢献』なのよ。

    この『人生の課題』に立ち向かって乗り越えるというのは、

    それぞれのレベルの課題で、他人に貢献するということなの。

    仕事レベルの他者貢献、交友レベルの他者貢献、愛レベルの他者貢献。

    そうそう、そんな感じ。

    人間は心の奥底で、他人と協力して生きることを強く望んでいる。

    だから、共同体の一員となって、自分の居場所を確保することに、安心と幸せを感じる。

    なるほど。自分の居場所を確保しようと思ったら、共同体にとって役に立つ人間にならないとな。

    その通りよ。
    他人の役に立って『貢献感』を得て、自分の居場所を感じることが、人間にとっての幸せなの。

    ハッキリ言い切ったな。

    幸せ イコール 貢献感
    アドラーはそう言ってるわね。

    共同体の中に、自分の居場所を感じられるのが共同体感覚だったよな。

    貢献感があれば「私はここに居てもいいんだ」と思えるから、自分の居場所を感じられる。

    居場所を感じられるんだから、共同体感覚も身に付くというわけだな。

    他人への貢献感が、共同体の中に居場所を感じさせてくれる。

    その感覚が、共同体感覚よ。

    貢献感を手に入れたら、自分が価値のある人間だと感じられて、自信・勇気も同時に得られるわ。

    貢献感と一緒に、いろんなものが手に入るんだな。

    勇気を得られれば、さらにレベルの高い課題にチャレンジできるわ。

    そして、より深く共同体感覚を身に付けることができる。

    共同体感覚を深めつつ、人生の課題をクリアしていけば、より幸せに生きられるわ。

    この図のように、共同体感覚と人生の課題を行ったり来たりするんだな。

    そして、より幸せになっていく。

    そうなの。表面的な幸せなんて、人それぞれよね。

    高い車に乗る 
    アイドルのような恋人をつくる
    高価なバッグを買う
    おいしいものを食べる


    手に入れた瞬間にしぼんでしまうような幸せは、例を挙げ出したら切りがないはずよ。

    だけど、本当の意味での、根本的な幸せは貢献感からスタートするの。

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    今日のまとめ

    3段階の貢献は次回以降に回して、そろそろ今日の話をまとめましょう。

    まずは今日のテーマよ。
    人間にとっての幸せとは?

    人間は一人では生きられないから、他人と協力して生きていくことを、心の奥底で強く望んでいる。

    だから、人間にとっての根本的な幸せは『共同体の中に居場所を感じる事』になるんだな?

    その通り。

    そして、自分の居場所を感じるためには、他人に貢献しないといけない。

    「自分は共同体の役に立つ人間だ」と思えるようになって、貢献感を得ないといけない。

    アドラー心理学が目標とする共同体感覚は、共同体の中に居場所があるという感覚だから、

    貢献感を得て居場所を感じられれば、共同体感覚を身に付けられる。

    それと同時に、幸せを感じられる。

    そして貢献には3つの段階があるわ。

    task

    仕事・交友・愛の3つだな。

    この3つは、幸せに生きるためには避けられない人生の課題よ。

    3つ全てが、ひとりで出来るような課題じゃない。

    どれも共同体の中での話だから、それぞれのレベルで他人に貢献することが必要になるわ。

    仕事の課題に立ち向かうには、仕事レベルの他者貢献が必要なんだな。

    そう。図のとおり、共同体感覚と人生の課題を行ったり来たりして、同時にレベルアップしていくの。

    そうすれば、幸せを感じる度合いもレベルアップしていくわ。

    他人に貢献して、何かしらの貢献感を得られれば、自信が生まれるから勇気も手に入る。

    その勇気を使えば、次のレベルの他者貢献に進めるってわけだ。

    そういう事ね。貢献感からは、共同体感覚だけじゃなく勇気も生まれる。

    日々、色んな問題が起きる実生活の中で、心を折らずに、人生の課題に立ち向かって行くには‥‥

    継続的に、勇気が補充できないと難しいのよ。続かないの。

    なるほどな‥‥ 定年で退職した後にめっちゃ老け込む人って、貢献感を失うからなんだろうな‥‥

    そうかも知れないわね。

    貢献感を失うと同時に、居場所や自信も失っちゃうからね。

    貢献してきた共同体を失うのって怖いんだな。

    別の共同体を見つけなきゃ、だぜ。

    『別の共同体』って考え方は、今後の話に出てくるわよ。

    今日の話はもう大丈夫?

    勇気を補充しながら、課題に立ち向かって、乗り越えたらまた勇気が補充できて、また課題に立ち向う。

    アドラー心理学はいそがしいんだなって思ったぜ。

    まったくもってその通りね。でも人生ってよく考えたらそんなものよ。

    幸せに生きたいなら、あきらめずに他人に貢献して、課題を乗り越えて自分の居場所を作れって事だな。

    簡単にまとめるとそんな感じね。

    それで、次回はどんな話になるんだ?

    他者貢献のレベル1『仕事の課題』に立ち向かう話をしていくわよ。

    幸せに生きる為の、具体的な話に入っていくんだな?

    そう。幸せに生きたい人が、知っておくべき行動を詳しく伝えるわよ。

    次回に進みます

    嫌われる勇気の徹底解説

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