ニーチェとアドラー②ニヒリズムとは何か?道徳まで崩れたらどうなるのか?

    今日のテーマ

    ニヒリズムとは何か?

    毎日を、楽しく前向きに過ごせたら幸せです。

    その為に必要なのは、自分の人生に価値があると思えるような生き方をすることです。

    逆に、人生に価値を感じられなくなると、無気力にダラダラと過ごしてしまいます。

    今日はニーチェの主張と絡めて、楽しく生きられない人の心理を追っていきます。

    今日の結論

    人生には意味も価値もないと
    考えてしまうのがニヒリズム

    さらに道徳まで失われたら
    弱者には絶望しか残されない

    目次

    現代人の絶望・ニヒリズム

    今日のテーマは、ニーチェから学ぶ『ニヒリズム』よ。

    現代人の心を、知らぬ間に蝕んでいる『絶望』を解説するわね。

    私は普通に生きてるつもりだが、その絶望って私にも関係あるのか?

    もちろんよ。
    むしろ普通に生きてるからこそ、陥ってしまう絶望がニヒリズムだからね。

    自覚は無いでしょうけど‥‥

    無自覚に陥ってしまう絶望‥‥
    なんか怖いんだぜ。

    生きている意味を感じられず、なんとなく毎日を過ごしている人や、

    過去を振り返って後悔ばかりしてる人が、世の中には溢れかえってるわ。

    人生を前向きに捉えて、充実して生きる為には、そんな絶望なんかに囚われてる場合じゃないの。

    じゃあその『絶望』とやらから抜け出す方法を、さっさと教えるんだぜ。

    了解よ。絶望から抜け出す為に、まずは絶望を知りましょう。

    詳しく解説するわね。

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    前回のおさらい

    前回は『価値観』について話したけど覚えてるかしら?

    ちゃんと結論まで覚えてるぜ。

    信じられる価値観を失うと、生きる目標も失ってしまう。

    そうね。どんなことに「価値がある」と感じるのか?

    それが価値観よ。

    価値があると思えるから、それを目標にして頑張れる。

    逆に、何事にも価値が無いと思ってしまえば、生きる目標を失ってしまう。

    そんな話だったな。現代ではいろんな価値観が崩れたんだよな。

    結婚・恋愛・就職・マイホーム‥‥

    いろんなことへの価値観が崩れてしまったわね。

    崩れたら一番ヤバい『道徳』も、例外じゃないって言ってたよな。

    そうね。前回は『キリスト教と道徳』の話もしたけど、

    今日はその話を、哲学者ニーチェの視点で振り返ってみるわ。

    キリスト教と道徳‥‥ ちょっとおさらいしてもらってもいいか?

    もちろんよ。
    今から約二千年前。

    イエス・キリストが貧しい人や病人などの弱者を救って、そのイエスの教えからキリスト教が生まれた。

    キリスト教が、弱者の味方になることに『価値』を与えたんだったな。

    そして、その弱者寄りの価値観が、道徳として世界中に広まった。

    その通りよ。道徳は、弱者を救った神様の教えを元に作られた。

    だから神様の存在を信じられなくなると、弱者が救われる道徳的な価値観も、根拠を失ってしまう。

    弱者に価値を与えていたのが神様。

    その神様がいなくなったら‥‥

    弱者が絶望する世の中に逆戻り、というわけだな。

    そう。ここまでの流れを理解できたら、ニーチェの主張もわかってもらえるはずよ。

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    弱者を”善”とする価値観

    ニーチェが、キリスト教的な価値観を批判したと聞いたらどう思う?

    え?そうなのか?

    イエス・キリストは弱者を救ったし、良い行いをしたと思うぜ。

    私は、批判するようなところなんて無いと思うんだけどな‥‥

    うん。その理由を説明するわ。

    ものごとを『善と悪』に分ける考え方ってよくあるわよね?

    そうだな。よく聞く話だぜ。

    キリスト教が、この善と悪を逆転させたと、ニーチェは主張したのよ。

    善と悪を逆転?

    そう。イエスが生きていたころは、ユダヤ教の価値観が支配的だったわ。

    当時のユダヤ教では、強者が善だとされていたの。

    健康で裕福な者がいたら、こう考えられていたわ。

    信仰が厚いから神に愛されてるんだ

    前回もそんなこと言ってたな。

    その頃の神様は、恵まれてる人のものだったんだな。

    そんな感じね。強者が善だと考えれば、その反対の弱者は悪となるわ。

    貧しい人や病人は、信仰が足りず、神から愛されないからそうなるんだ。

    自業自得の罪人だ、ってね。

    強者が善、弱者が悪の価値観ね。

    そこにイエスが現れたんだよな。

    そう。罪人であり、悪だとされていた弱者をイエスは救った。

    ここまでは、ほとんどの人が文句を言わない話じゃないかしら。

    少なくとも私は良い話だと思うぜ。

    私もそう思うわ。
    でも、この後の展開には、ちょっと突っ込み所があるかも知れない。

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    弱者の人生に価値を与えた方法

    聖書にはこんな一文があるのよ。

    貧しき者は幸いである
    天の国は、その人のものだからである

    ???
    貧しい人が天国に行けるって意味か?

    いろんな解釈がある有名な一文なんだけど、無難に解釈するとこうなるんじゃないかしら。

    何も持たない人は、純粋に、その人のすべてを神に委ねることが出来る。

    だから神に救われて天国に行ける。

    『何も持たない人』って、つまり弱者じゃないのか?

    お金を持ってるより持ってない方が、健康より不健康の方が、天国に行けるって事だよな?

    そうなるわね。

    弱者こそが天国に行ける。

    強者はいろんなものを持っているから、神以外のものに惑わされる。

    だから強者は天国から遠ざかる。

    なるほど。たしかに弱者の方が得をするように感じるな。

    ニーチェが言った「善と悪を逆転させた」というのはそういう事なの。

    『強者が善い』と思われていた価値観を、『弱者の方が善い』という価値観に逆転させた。

    強者より弱者の方が、最終的には幸せになれるよ、って考え方ね。

    ふむ‥‥

    意地悪な見方かも知れないが、あるかどうかもわからない死後の世界を利用したようにも取れるな。

    生きているうちは強者の方が恵まれているけど、死んだ後は弱者の方が幸せになれる‥‥

    負け惜しみっぽくも感じるぜ。

    鋭いわね魔理沙。

    ニーチェが批判したポイントは、その『負け惜しみ』の部分よ。

    強い者・恵まれた者に対して、弱者が持つ恨みや妬みなどの感情を、ニーチェは『ルサンチマン』と呼んだ。

    そしてキリスト教が広めた道徳は、ルサンチマンから生まれた『奴隷道徳』だと批判したのよ。

    聞いたことない言葉だな。
    ルサンチマン? 奴隷道徳?

    これらは次回のテーマだから、今日は深く掘り下げないでおくわね。

    弱者が死後の世界に期待する事を、魔理沙は負け惜しみのように感じた。

    でも神の救いを信じられるなら、それで良かったと思わない?

    弱者が前向きに生きられるなら、負け惜しみだろうがルサンチマンだろうが、価値のある考え方だわ。

    ‥‥まぁな。 
    神の存在を信じられるなら‥‥な。

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    神は死んだ

    イエスの行いは偉いと思うぜ。

    周囲の批判に負けず、磔の刑にされてまで、飢える人には食事を与え、病める人には治療を施した。

    二千年前、私が弱者の立場だったら、世界を救ってくれる人だ・救世主だ、って思えただろうな。

    「この人の言うことを信じて、死後の世界に期待しよう」

    「貧しくて苦しい人生でも、絶望せずに、前向きに生きよう」

    そんなふうに思えたかもしれない。

    うん。

    でもな・・・ 『生き返った』って話は正直いうと信じられないし、

    そんな、自分に都合の良い死後の世界が有るとも思えないんだぜ。

    まぁ、そうでしょうね。

    聖書にはイエスが起こした様々な奇跡が書かれているけど、

    今を生きる魔理沙が読んでも、嘘くさく感じてしまうでしょうね。

    だからニーチェは言ったのよ。
    「神は死んだ」ってね。

    有名な言葉だな。

    自然科学が発達した現代では、神が起こした『奇跡』を、心の底から信じるのは難しいわよね。

    水をぶどう酒に変えたり、海の上を歩いたって言われても、どうしても嘘くさく感じてしまう。

    そうだな。
    真正面から信じるのは難しいぜ。

    神が死んだら、弱者は希望を失う。

    強者に利用され、虐げられ、苦しい思いをしていても、

    「死んだら天国に行ける」と思って頑張れたのに、それも無くなる。

    弱者が生きる目標を失うんだな。

    そう。人間は、信じられる価値観を失うと、生きる目標も失ってしまう。

    「価値がある」と思えるものが無くなったら、どこを目指して生きればいいのかわからなくなる。

    ・・・
    目標を失ったら人間はどうなるんだ?

    無気力で、楽をしたがって、すべての事がどうでもよくなるのよ。

    その日その日を、流されるようにダラダラと生きてしまう。

    なんか休日の私みたいだぜ‥‥

    休みの日の魔理沙に限らず、明確な価値観を失うと、人間は無気力になってしまうのよ。

    目標を見失った『迷子』のような状態だから当然よね。

    スマホを眺めたり、テレビを見たりしていて一日が終わる。

    自分から行動を起こさずに、常に受け身で流されて生きる。

    ・・・

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    ニヒリズムの時代

    世の中には価値があるものなんて無い

    こういう考え方を、ニヒリズムって呼ぶのは知ってる?

    言葉は聞いたことあるが、深く考えたことは無いな。

    信じられる価値観を、失ってしまった人が陥る、絶望的な考え方。

    それが『ニヒリズム』よ。

    ニーチェは、ニヒリズムが蔓延する時代が来ると予言して、西暦1900年にこの世を去ったわ。

    ‥‥私もニヒリズムに陥ってるのか?

    「自分の人生には意味がある」

    こんなふうに思えてるなら大丈夫よ。

    あぁ‥‥‥

    たまにだけど、私は何の為に生きてるんだろうって考える時があるぜ‥‥

    昔は「良い」と思われていたことが、今ではたくさん崩れてしまった。

    この事には良い面・悪い面があるわ。

    時代が変われば、価値観も変わる。

    結婚しないことにも、仕事をしないことにも、家を建てないことにも‥‥

    価値が与えられるようになり、とんでもない貧富の差も出来てしまい、

    いったい何が良くて何が悪いのか、わかりづらくなった現代社会。

    その中で生きる私たちは、どうしたってニヒリズムに陥りがちなのよ。

    そうだな‥‥
    たしかに、どう生きるのが正解なのか、よくわからないんだぜ。

    さらに、弱者の味方である『道徳』まで崩れたら、弱者には絶望しか残されていないわ。

    えー もうどうしたらいいんだよ。

    良いも悪いもよくわからなくて、弱い立場の人にも厳しい世の中なんて最悪じゃないか。

    魔理沙も『現代人の心の問題』がわかってきたみたいね。

    そうだな。ニーチェの予言は当たってると思うぜ。

    程度の差はあるだろうが、みんなニヒリズムに陥っていて、生きる意味や目標を見失ってる気がする。

    私もそう思うわ。何をしても、しっくりこない世の中よね。

    ニーチェは何か考えなかったのか?

    ニヒリズムの時代を生きるアドバイスとか、解決策とかをさ。

    絶望の中で前を向く方法

    安心して魔理沙。
    不安を煽るだけじゃなくて、ちゃんと答えは出されているわ。

    ニーチェは、ニヒリズムに陥って無気力になった人を『末人』と呼び、

    それに対して、自分の人生に価値を見出し、上昇志向で生きる人を『超人』と呼んだわ。

    末人と超人‥‥
    超人ってどんなイメージの人なんだ?

    生きてて良かった!
    自分の人生は最高だ!
    もっと頑張って人生を良くするぞ!

    こんなふうに思って、自分の力で人生を切り開いていける人ね。

    『人生を楽しんでる人』
    簡単に言っちゃうと、こんな感じね。

    なるほど。ニヒリズムに陥った人は、人生を楽しむ『超人』を目指さないといけないんだな。

    そういう事になるわね。

    私は末人の方に入るんだろうが、どうやったら超人になれるんだ?

    それは次回に話すわ。

    『奴隷道徳』『ルサンチマン』

    今日は話せなかった、これらも理解しないと『超人』を目指す道を示すのは無理だからね。

    そうなのか。何か、今より前向きに生きる方法が知れたら嬉しいんだぜ。

    ニーチェの教えは哲学で、どうしても抽象的な話になってしまうから、

    もっと実践的なアクションプランとして、アドラー心理学を使って解説しようと思うわ。

    人生は一回限りで、あっと言う間に過ぎ去ってしまう。

    絶望なんてしてるヒマは無いわ。

    今日の結論

    人生には意味も価値もないと
    考えてしまうのがニヒリズム

    さらに道徳まで失われたら
    弱者には絶望しか残されない

    次回に進みます

    劣等感の総まとめ

    嫌われる勇気の徹底解説

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