ニーチェとアドラー②ニヒリズムとは何か？道徳まで崩れたらどうなるのか？

今日のテーマは、ニーチェから学ぶ『ニヒリズム』よ。

現代人の心を、知らぬ間に蝕んでいる『絶望』を解説するわね。

もちろんよ。
むしろ普通に生きてるからこそ、陥ってしまう絶望がニヒリズムだからね。

自覚は無いでしょうけど‥‥

人生を前向きに捉えて、充実して生きる為には、そんな絶望なんかに囚われてる場合じゃないの。

前回は『価値観』について話したけど覚えてるかしら？

そうね。どんなことに「価値がある」と感じるのか？

それが価値観よ。

価値があると思えるから、それを目標にして頑張れる。

逆に、何事にも価値が無いと思ってしまえば、生きる目標を失ってしまう。

結婚・恋愛・就職・マイホーム‥‥

いろんなことへの価値観が崩れてしまったわね。

そうね。前回は『キリスト教と道徳』の話もしたけど、

今日はその話を、哲学者ニーチェの視点で振り返ってみるわ。

イエス・キリストが貧しい人や病人などの弱者を救って、そのイエスの教えからキリスト教が生まれた。

だから神様の存在を信じられなくなると、弱者が救われる道徳的な価値観も、根拠を失ってしまう。

弱者に価値を与えていたのが神様。

その神様がいなくなったら‥‥

ニーチェが、キリスト教的な価値観を批判したと聞いたらどう思う？

キリスト教が、この善と悪を逆転させたと、ニーチェは主張したのよ。

当時のユダヤ教では、強者が善だとされていたの。

健康で裕福な者がいたら、こう考えられていたわ。

信仰が厚いから神に愛されてるんだ

貧しい人や病人は、信仰が足りず、神から愛されないからそうなるんだ。

自業自得の罪人だ、ってね。

強者が善、弱者が悪の価値観ね。

そう。罪人であり、悪だとされていた弱者をイエスは救った。

ここまでは、ほとんどの人が文句を言わない話じゃないかしら。

そうなるわね。

弱者こそが天国に行ける。

強者はいろんなものを持っているから、神以外のものに惑わされる。

だから強者は天国から遠ざかる。

『強者が善い』と思われていた価値観を、『弱者の方が善い』という価値観に逆転させた。

強者より弱者の方が、最終的には幸せになれるよ、って考え方ね。

これらは次回のテーマだから、今日は深く掘り下げないでおくわね。

弱者が死後の世界に期待する事を、魔理沙は負け惜しみのように感じた。

でも神の救いを信じられるなら、それで良かったと思わない？

弱者が前向きに生きられるなら、負け惜しみだろうがルサンチマンだろうが、価値のある考え方だわ。

自然科学が発達した現代では、神が起こした『奇跡』を、心の底から信じるのは難しいわよね。

水をぶどう酒に変えたり、海の上を歩いたって言われても、どうしても嘘くさく感じてしまう。

そう。人間は、信じられる価値観を失うと、生きる目標も失ってしまう。

「価値がある」と思えるものが無くなったら、どこを目指して生きればいいのかわからなくなる。

その日その日を、流されるようにダラダラと生きてしまう。

休みの日の魔理沙に限らず、明確な価値観を失うと、人間は無気力になってしまうのよ。

目標を見失った『迷子』のような状態だから当然よね。

スマホを眺めたり、テレビを見たりしていて一日が終わる。

自分から行動を起こさずに、常に受け身で流されて生きる。

世の中には価値があるものなんて無い

こういう考え方を、ニヒリズムって呼ぶのは知ってる？

ニーチェは、ニヒリズムが蔓延する時代が来ると予言して、西暦1900年にこの世を去ったわ。

「自分の人生には意味がある」

こんなふうに思えてるなら大丈夫よ。

この事には良い面・悪い面があるわ。

時代が変われば、価値観も変わる。

結婚しないことにも、仕事をしないことにも、家を建てないことにも‥‥

価値が与えられるようになり、とんでもない貧富の差も出来てしまい、

いったい何が良くて何が悪いのか、わかりづらくなった現代社会。

その中で生きる私たちは、どうしたってニヒリズムに陥りがちなのよ。

魔理沙も『現代人の心の問題』がわかってきたみたいね。

生きてて良かった！
自分の人生は最高だ！
もっと頑張って人生を良くするぞ！

こんなふうに思って、自分の力で人生を切り開いていける人ね。

『人生を楽しんでる人』
簡単に言っちゃうと、こんな感じね。

それは次回に話すわ。

『奴隷道徳』『ルサンチマン』

今日は話せなかった、これらも理解しないと『超人』を目指す道を示すのは無理だからね。