アドラー心理学⑫悪い劣等感は他人との競争を生んで敵を作る【性格は変えられる・前編】

    目次

    今日のテーマ

    さぁ、今日から2回に分けて、性格は変えられるという話をするわよ。

    アドラー心理学を使って、まずは劣等感を味方につける方法から解説していくわね。

    劣等感を味方に‥‥?

    一言で「劣等感」と言っても、良い劣等感と悪い劣等感に分けられるの。

    劣等感をバネにして、成長していくのが「良い劣等感」

    劣等感に負けて、心が折れてしまって努力しなくなるのが「悪い劣等感」

    ふうむ‥‥
    成長を助けてくれる劣等感と、成長を邪魔する劣等感って感じだな。

    そうね。この2つの劣等感を分けるポイントは「解釈の違い」なの。

    物事の受け取り方、つまり「解釈」のしかた次第で、劣等感は良くもなるし悪くもなるのよ。

    解釈のしかたか‥‥

    たしかに物事を前向きに捉えたり、逆に後ろ向きに捉えたり、

    「性格」によって色んな解釈のしかたが有るよな。

    魔理沙が今言った「性格」というのは、物事への「解釈のくせ」だと思えばいいわ。

    起こった出来事は同じでも、プラスに解釈する人もいれば、マイナスに解釈する人もいるわよね。

    性格って最初から決まってるものじゃなくて、ただの解釈のくせなのか?

    そうなの。
    この「解釈のくせ」を直せば、悪い劣等感を良い劣等感に変えられるし、性格も変えられるってわけね。

    アドラー心理学では、性格とか解釈のくせではなくて、「ライフスタイル」って呼ぶのよ。

    今日のテーマだから覚えておいてね。

    ライフスタイルとは?

    ライフスタイルって、なんかカジュアルな呼び方なんだぜ。

    言われてみればそうね。
    ライフスタイルとは、おおざっぱに言うとこんな感じだわ。

    外の世界をどのように見ているか?

    その見方のくせがライフスタイルね。

    「物事を解釈する時の傾向」という感じなのかな?

    まさにそんな感じね。楽観的に捉えたり、悲観的に捉えたり‥‥

    ライフスタイルが生まれつきのもので、変えられないものだとしたら、

    それを理由に課題から逃げてしまうのも、まぁ仕方ないかもね。

    うん。

    だけど、ライフスタイルは自分で選んだものなのよ。

    そのライフスタイルを選び続けてくせになってるだけで、違う生き方を選ぶこともできるの。

    courage

    ふむ。何事にも前向きに頑張れる人は、努力して課題をのりこえちゃう『くせ』がついてるのかもな。

    そうかもしれないわね。

    たとえ乗り越えられなくても、何かのせいにして課題から逃げるんじゃないんでしょうね。

    「今はまだできないけど、あきらめたら終わりだから頑張ろう」

    「理想が高すぎた。もう少し現実的に考えてみよう」

    「この方法は自分に向いてないみたいだ。違うやり方を試してみよう」

    こんな感じで『やるべきこと』から逃げずに、今の自分でどう乗り越えるかを考えるのよ。

    なんかわかってきた気がするぜ。

    それって、他人と比べて頑張るんじゃなくて、理想の自分に向かって頑張るって感じじゃないか?

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    良い劣等感と悪い劣等感

    その通りよ。理想の自分と、現実の自分を比べるのが良い劣等感なの。

    他人と比べるのは悪い劣等感ね。

    ん? でもちょっと待て霊夢。

    劣等感って他人と比べるから生まれるんじゃなかったか?

    comparison

    他人と比べて生まれるのが悪い劣等感なんだったら、劣等感はすべて悪い劣等感って事にならないか?

    魔理沙のツッコミはいつも的確ね。
    その通りよ。

    他人と比べて、自分の方が劣っていると感じるのが劣等感ね。

    そのはずだぜ。

    自分と他人とを比べて、反射的に感じてしまう『最初の劣等感』

    これも他人と比べるから悪い劣等感なんだけど、ここから良い劣等感にも変化するのよ。

    『最初の劣等感』を感じた後に、

    それが良い劣等感になるのか?
    悪い劣等感のままなのか?


    どこで違ってしまうんだ?

    それはズバリ言っちゃうとね、受け入れるかどうかで違ってくるの。

    他人より劣っている自分を、受け入れるのか? 否定するのか?

    ここで道が大きく分かれてしまうの。

    ・・・

    悪い劣等感とは、他人より劣っている自分を否定して、

    「あんな人に負けるはずがない」と決めつけてしまう劣等感よ。

    「こんな私はイヤだ!」
    「絶対に認められない!」


    悪い劣等感とは、そんな状態なの。

    良い劣等感の場合はどうなるんだ?

    良い劣等感は、他人より劣っている自分を素直に受け入れる劣等感よ。

    今の自分で出来ることは何だろう?

    このように『今の自分』で出来ることを考えて、その考えをもとに『理想の自分』を作り出して、

    その『理想の自分』に向かって、少しでも前に進もうとする劣等感ね。

    ‥‥劣っている自分を認めずに、否定して強がるのか‥‥

    素直に受け入れて、そこから少しずつでも前に進もうとするのか‥‥

    そうそう、そんな感じ。

    反射的に感じる最初の劣等感も、他人と比べるから悪い劣等感なんだけど、

    程度が軽いし、優越性の追求につながるから必要なものなのよ。

    でもそこに「劣っている自分を否定する」というのが加わってしまうと、悪い劣等感が完成してしまう。

    なるほど‥‥
    劣等感には段階があるんだな。

    最初の劣等感から、良い劣等感に変化する場合もあれば、程度の重い、悪い劣等感に変化する場合もある。

    そう。劣っている自分を受容するか否定するかで違ってしまう。

    うーん‥‥
    ちょっとややこしくなってきたな。

    こんな感じで理解すればいいか?

    最初の劣等感は
    「程度は軽いけど悪い劣等感」

    劣っている自分を受容するのは

    「良い劣等感」

    劣っている自分を否定するのは

    「悪い劣等感」

    その理解で大丈夫よ。

    この3つの劣等感のうち、悪い劣等感をもう少し掘り下げるわよ。

    劣っている自分を否定するのが悪い劣等感なんだけど、その否定をする時に、さらに2つの道に分かれるの。

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    2種類の悪い劣等感

    2つの道? 悪い劣等感は2種類あるってことか?

    そうなの。劣っている自分を受け入れられなくて、否定する時に選んでしまう2つの道。

    それが逃げる道と、強がる道よ。

    なんだかよくわからないぜ‥‥

    前回に話した劣等コンプレックスは覚えてるかしら?

    それは覚えてるぜ。

    やるべきことから逃げる為に、劣等感を『いいわけ』に使うんだったな。

    ありもしない『原因』を作り出して、そのせいで自分はできないって思い込むのが劣等コンプレックスだ。

    そうね。こんな話もしたわよね。

    やるべき事に向き合う勇気をくじかれると、その課題から逃げてしまいがちだ

    この劣等コンプレックスが、劣った自分を否定して『逃げる』道なのよ。

    立ち向かう勇気が足りず、いいわけをして逃げてしまう。

    ふむ、なるほどな。

    それとは逆の、劣った自分を否定する方法として、優越コンプレックスというのもあるのよ。

    初めて聞く言葉だな。

    劣等コンプレックスの逆ね。

    劣等コンプレックスは、課題から逃げる自分を正当化する手段。

    優越コンプレックスは、出来ると見せかけて、他人をだます手段なの。

    出来ると見せかける‥‥‥

    つまり、強がる手段ね。

    他人をだますってのは、その場しのぎでごまかすってことか?

    そんな感じね。
    魔理沙は自分の知らない事を、知ってて当然のような雰囲気で聞かれた時に、知ったかぶりした経験はない?

    あるぜ。「知らない」って言うのが恥ずかしくて、知ってるフリをしてしまう事はよくあるな。

    それは『知らない自分』に劣等感を感じて、優越コンプレックスに陥ってしまった結果なのよ。

    知らない自分を否定して、強がって知ってるフリをする。

    素直に知らないって言えばいいのに、知ってるフリをしちゃって、その後の会話に困る、ってのはありがちよね。

    みんな経験あるんじゃないか?

    たしかに、知らない自分を受け入れていたら、素直に「知らない」って言うだろうな。

    だって実際知らないんだから。

    「知らない、教えて」で済む話なのに、知ってるフリをしてしまう。

    これはどうしてだと思う?

    ふむ。さっきも言ったが、やっぱり恥ずかしいからだと思うぜ。

    そうよね。
    「知らない事がたくさんある自分」を受け入れてる人なら、恥ずかしいと感じずに素直に聞けるでしょうね。

    無理して知ってるフリをするより、素直に聞く方が自然で気楽なんだぜ。

    強がるより教えてもらった方が、自分にとってプラスになるはずだし。

    そうそう。その通り。
    劣っている自分を、受け入れられなかったら否定するしかない。

    その否定をする時に選ぶ道は、2つあるということね。

    『劣等コンプレックス』
    『優越コンプレックス』

    劣った自分を「受容」するのか。
    「2種類の否定の道」を選ぶのか。


    その選択しだいで、人生の進む先は大きく変わってしまうのよ。

    でも、相手の前では、劣った自分を否定して逃げたり強がったりしても、

    一人になった時に、その分を取り返すって事はあるんじゃないか?

    知ったかぶりをした後に調べたり。
    出来るフリをした後に練習したり。


    一旦は逃げてしまったけど、やっぱり悔しくて隠れて勉強したり。

    それらも一種の、自分を成長させる努力だと思うんだがな‥‥

    そうね。相手と同じレベルまで努力できるなら、悪い劣等感ではない気がするわよね。

    うん。

    でもね‥‥

    劣っている自分を受け入れてからする努力と、否定しながらする努力。

    この2つには、とてつもなく大きな違いがあるのよ。

    ?? どう違うんだ?

    自分に劣等感を与える相手が、味方になるか敵になるか、という違いよ。

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    悪い劣等感は敵を作る

    envy

    ??? 受け入れると味方になって、否定すると敵になる?

    そう。さっき知ったかぶりの話をしたけど、これは優越コンプレックスの程度の軽い例ね。

    感じるのは恥ずかしさだけ。もっと程度の重い場合だとわかりやすいわ。

    たとえばどんな場合だ?

    わかりやすい例だと『年収』かしら。

    周りの友達が、みんな年収1000万円で、魔理沙だけが100万円だったとしたら、

    優越コンプレックスは、知ったかぶりのレベルでは済まないかもね。

    そうだな‥‥‥

    「恥ずかしい」というレベルじゃなくて、「悔しい・情けない」というレベルになると思うぜ。

    「ムカつく」というレベルまでいっちゃうかもね。

    そうかもしれないな。

    『優越コンプレックス』を選択して、年収を実際よりも高く言っちゃう可能性があるぜ。

    年収で劣る自分を受け入れる人だったら、友達の苦労話や成功談を聞いたりして、自分にプラスになるような話が自然とできそうよね。

    話が終わったあとも、こんな風に思うんじゃないかしら。

    「いい話が聞けた」 「ありがたい」
    「わたしは良い友達を持った」

    うん、なんとなく想像できるぜ。

    逆に、年収で劣る自分を否定してしまう人だったらどうなると思う?

    envy

    そうだな‥‥

    逃げる劣等コンプレックスを選択すれば、学歴とか親の教育とか性格とか、ありもしない原因を探し出して、

    「年収が低くても仕方ないんだ」と、頑張らない自分を正当化したり、慰めたりするかもな。

    強がる優越コンプレックスを選択すれば、年収1000万円の自分を演じるかもしれない。

    無理して高い服を着たり、高い車に乗ってたりしそうだぜ。

    ここで聞きたいんだけど、年収1000万円の自分を演じて、そうなるように努力する場合、

    年収が2倍の200万円になっても、満足しないんじゃないかしら?

    多分しないだろうな‥‥ 年収が2倍になっても悔しいままだと思うぜ。

    それはどうしてだと思う?

    ‥‥年収が同じレベルまでいかない限り、「負けてる」と感じるからじゃないかな。

    その通りよ、魔理沙。

    勝った負けたの勝負の世界。
    つまり『競争』という状態ね。

    劣った自分を受け入れない人は、常に他人との競争の中で生きることになっちゃうのよ。

    競争相手とはつまり‥‥

    ‥‥敵だな。

    目的が『自分の成長』じゃなくて、『勝つ』ことになってしまったら、その相手は敵になるのよ。

    劣った自分を受け入れる人にとっては、優れている人はすべて自分にプラスになる人だから、味方だと感じる。

    自分の前を走ってくれて、努力する勇気を与えてくれる。一緒にいてくれてありがたいと感じる。

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    良い劣等感は心が折れにくい

    なるほどな。

    悪い劣等感だと相手に勝てなかったら、すべての努力が『失敗』になってしまうんだな。

    良い劣等感は『理想の自分』に向かって進むから、これはさすがに無理だと感じたら修正できる。

    それに少しでも前に進めたら、それが成長や自信になるし、次の努力につながっていく。

    努力を『失敗』と感じて、心が折れることはなさそうだぜ。

    そうそう。良い劣等感での『失敗』は、立ち止まってしまう事だけだわ。

    逃げたり、強がったりしてしまったら、それは悪い劣等感よ。

    良い劣等感は、少しでも前に進んでいれば、常に充実してて自信になるから苦にならないわよね。

    前回、霊夢が言ってたテストの点数の話が、まさにそれだな。

    母親がいつも取ってた90点が取れるまで、悪い劣等感だったら全ての努力が失敗になっちゃうぜ。

    『失敗』だと感じてしまって、その状態が続いたら、努力する事から逃げたくなる気持ちもわかるわよね。

    最初に50点を取った時に「自分と母親はちがう」という事を受け入れられなかったのが問題なのよ。

    50点の自分を素直に受け入れて、そこから少しでも前に進もうと考えたら、ぜんぜん感じ方が違うわ。

    70点を取ったときに感じるのは、「また90点を取れなかった、僕は頭が悪いんだ」じゃなくて、

    「僕は頑張ったぞ、20点も成長したぞ」になるでしょうね。

    それが『解釈』のちがいなんだな。

    同じ70点でも、『失敗』と解釈するのか『成功』と解釈するのか。

    90点に足りないと考えるか、20点増えたと考えるか。

    同じ劣等感でも、『解釈』の仕方が違えば、良い劣等感と悪い劣等感に分かれてしまう。

    その分かれ道のどちらに進むかは、「劣った自分を受け入れるかどうか」で変わるということね。

    自分を受け入れるかどうかで、そんなに生き方に差が出来てしまうんだな‥‥

    さぁ、ここで大きな疑問にぶち当たるんじゃない?

    どうすれば、他人より劣っている自分を受け入れられるか‥‥?

    当然そこが気になるわよね。
    次のテーマはそれよ。

    「解釈」については少し出てきたけど、ライフスタイルを変える話はまだ終わってないしね。

    劣等感の話は深いんだぜ‥‥

    今日はここまでにしておくわ。

    自分を受け入れて性格を変える話に進む前に、4種類ある劣等感をわかりやすく図解したから、次回を確認しておいて欲しいわ。

    劣等感のわかりやすい図か。
    わかった、見ておくぜ。

    次回に進みます

    嫌われる勇気の徹底解説

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