アドラー心理学⑪劣等感はどんな仕組みから生まれるのか?

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    今日のテーマ

    今日から話していく内容はメチャクチャ重要よ。

    劣等感』について解説するわ。

    アドラー心理学では、そんなに劣等感が重要なのか?

    そうね。人間なら誰しもが感じるもので、向き合い方によって人生が大きく変わるからね。

    劣等感との向き合い方か‥‥
    あまり意識したこと無いんだぜ。

    魔理沙は自分でも知らない内に、劣等感に行動を支配されてるのよ。

    劣等感の仕組みを理解すれば、その支配から抜け出すことも可能よ。

    魔理沙らしい生き方を手に入れるために、是非とも理解して欲しいわ。

    成長は劣等感から始まる

    いよいよ劣等感の話をしていくんだけど、まずは大前提として強く意識して欲しいわ。

    劣等感は、全ての人が持っている

    それは何となくわかるな。劣等感の無い人なんて想像つかないぜ。

    そうよね。
    だいぶ前の話になるけど、こんな話をしたのを覚えてるかしら?

    すべての悩みは対人関係の悩み

    第一回で聞いたやつだな。
    だいたい覚えてるぜ。

    この『悩み』というのは、そのまま『劣等感』に置き換えられるのよ。

    そうなのか?

    悩みと劣等感は同じ‥‥
    ちょっと思い出してみるぜ。

    忘れてたら思い出しておいてね。

    自分以外の人間が一人でも関われば、悩み、不満、つまり劣等感からは逃げられないのよ。

    生まれた瞬間から、無人島で一人で生きているような人は別だけどね。

    そんな人なかなか居ないんだぜ。

    もし居たとしても、一人で生きてるんだとしたら、言葉も何も無いんだから劣等感なんて概念も無いはずだ。

    自分と比べる対象が無いし。

    その通りね。
    自分と比べる他人が居なかったら、そもそも劣等感は生まれない。

    「私は犬と比べて走るのが遅い」なんて悩む人はいないわ。

    他の『人間』と比べて、自分が劣ってると感じるから劣等感は生まれる。

    そんな話だったな。

    じゃあ、人はいつから劣等感を持つと思う?

    んん? そんなの、人それぞれ違うような気がするが‥‥

    賢い人や強い人と、そうじゃない人とでは、その時期は違うと思うぜ‥‥

    実はね、ものごころがついたらすぐに、人間は劣等感を持つのよ。

    そんなに早くからか?

    そう。人間は、自分だけでは生きていけない状態で生まれてくるからね。

    ほっといたら、すぐに死んでしまう。

    お腹が空いたり、オムツが濡れたりして不快に思っても、自分ではどうしようもないから泣いて助けを求める。

    まぁ、そりゃそうだろうな。

    大人は立って歩いてどこでも行けるし、楽しそうに会話もしてる。

    食べ物も好きな時に食べられる。

    大人のようにしたい‥‥
    けど、出来ない‥‥

    子供は無力な自分を自覚した瞬間から、劣等感まみれになるのよ。

    なるほど。最初は親と自分を比べて劣等感を持つんだな。

    みんな劣等感からスタートするのよ。

    そして、その劣等感を克服するためにがむしゃらに動いて、そのうちハイハイを覚え、立ち上がり、歩きだす。

    大人を真似して喋りだす。

    うんうん。

    そんな不自由な状態から、なんとか抜け出そうとする行動を、

    アドラー心理学では『優越性の追求』と呼ぶのよ。

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    優越性の追求は不満からの脱出

    優越性の追求‥‥
    これは言葉通り解釈すればいいのか?

    そうね。赤ん坊の場合だと、今言ったような行動だわ。

    やりたいことが、出来るようになる為に努力することね。

    もう少し大きくなったら勉強やスポーツを頑張るかもしれない。

    自分を今よりも向上させたい!
    そんな欲求とも言えるわね。

    なるほど。
    ここまでは分かりやすい話だな。

    何もできない状態で生まれてきて、周りの大人を見て劣等感を持つ。

    それを克服するために‥‥
    出来るようにするために‥‥

    自分を向上させる為に努力する。何の問題もないぜ。

    そう。ここまではいいんだけど、考えないといけないのは、

    その劣等感を克服できなかった時にどうなるのか?という事だわ。

    優越性の追求に失敗したら‥‥

    努力しても克服できなかったらって事だよな?

    わかりやすい例だと、どんな感じになるんだ?

    例えば、おねしょがなかなか治らなくて、親を心配させたり、

    勉強を頑張っても、テストの点数がまったく伸びなかったり、

    部活を頑張ってもスタメンに入れなかったり‥‥

    パターンはいくらでも考えられるわ。

    そんなふうに、努力しても克服できない場合はどうなるんだ?

    努力することから逃げるために、劣等感を『言い訳』に使いだすのよ。

    努力しなくて済むように、言い訳をして逃げる‥‥?

    それって『トラウマ』の話の時に聞いたようなフレーズなんだぜ。

    よく覚えててくれたわね。
    その通りよ。

    『トラウマ』は劣等感の強烈なやつだからね。同じものなのよ。

    トラウマの話では、目の前の課題から逃げるために、過去のトラウマをいいわけに使うって内容だったわ。

    『原因論』『目的論』の話ね。

    これと同じで、努力しても劣等感を克服できない時は、

    努力をすることから逃げる為に、劣等感を言い訳に使いだすのよ。

    ‥‥‥もうちょっと具体的に教えてくれないか?

    ごめんごめん。
    もっとわかりやすく説明するわね。

    劣等感を持つことは、別に悪いことじゃないんだよな?

    それをバネにして頑張って、自分を向上させたり、理想の自分に近づけたりするんだから。

    そう。わかりづらいのはその後よね。

    例えば魔理沙の母親が、

    「私はテストで90点以上しか取ったことがないわ」

    なんて自慢していたとするわよ。

    そして魔理沙は、初めてのテストの点数が50点だった‥‥

    この場合、たぶん魔理沙は劣等感を感じるんじゃない?

    ‥‥そうだな。
    絶対感じると思うぜ。

    そこで、その劣等感を克服するために、一生懸命、勉強する。

    ここまでは自分を高めるために努力するんだからいいとしましょう。

    でも、頑張って勉強して何回テストを受けても70点しかとれない‥‥

    そうなった場合、どこかのタイミングで努力する勇気がくじかれる。

    まぁ、それは想像できるな。

    何回もみじめな思いを繰り返したら、心が折れるかもしれない。

    そして、努力する勇気がくじかれると、努力することが怖くなる。

    みじめな思いをするのが怖くなる。

    ‥‥そうなるかもしれないな。

    そうすると、魔理沙は努力から逃げる為の『言い訳』に、劣等感を使いだすのよ。

    「私は頭が悪いんだから、勉強しても無駄なんだ」ってな感じでね。

    ・・・

    そして、逃げる自分を正当化するために、ありもしない『原因』を作り出してしまう。

    「お母さんが教えてくれないから勉強出来ないんだ」とか考えたりする。

    父親の成績が悪かったとしたら、

    「お父さんからの遺伝が強いから頭が悪いんだ」などと思い込む。

    まさに『原因論』の世界だわ。

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    劣等感と原因論

    自分の問題に対して、なんでも原因を考えて、そのせいにしてしまうのが『原因論』だったな。

    「悪いのは自分じゃなくて親だ」という事にして、逃げる自分を正当化するんだな?

    そうね。他人のせいにして、努力から逃げる自分を正当化してしまうの。

    勉強が出来ない『原因』を、親に押し付けて勉強から逃げる。

    『劣等感』をこねくり回して、都合のいい理由や原因を作りだして、目の前の課題から逃げようとする。

    アドラー心理学では、このような後ろ向きになってしまった劣等感を、
    『劣等コンプレックス』と呼ぶのよ。

    劣等コンプレックス?
    コンプレックスと劣等感って同じ意味じゃないのか?

    違うわよ。誤解されがちだけど、コンプレックスと劣等感は別物なの。

    コンプレックスは、母親を独占する為に父親と敵対する、みたいな、倒錯した心理状態を指す用語なのよ。

    そうなのか。
    知らなかったんだぜ。

    まぁ、これはアドラーとは違う心理学の話だから、今日は踏み込まないでおくわね。

    うむ。話を戻すんだぜ。

    劣等感を持つのも、劣等感を克服する為に『優越性の追求』をするのも、悪い事じゃないんだよな?

    問題になるのは、目の前の課題から逃げる為に劣等感を言い訳にする『劣等コンプレックス』だな。

    そうよ。
    ありもしない『原因A』を作りだして『課題B』から逃げようとする。

    「AだからBできないんだ」と思い込むのが劣等コンプレックスね。

    ‥‥ふむ。

    前向きに頑張っても報われないから心が折れる。

    頑張る勇気がくじかれて、目の前の課題B』から逃げたくなる。

    でも逃げるのは恥ずかしい。

    だから、逃げて当然なんだと自分を納得させる為の、原因A』を無自覚に捏造する。

    だからできないんだと思い込む。

    もしじゃなかったら、
    私はできるのになぁ。

    そんな感じで「未来の可能性」に逃げ込んで自分を守る。

    これ以上みじめな思いをしない為に。

    ‥‥‥なんだか可哀そうな話だぜ。

    そうね。でも程度の差はあるけど、みんな毎日これをやっているのよ。

    意識して世の中を見渡せば、みんな「言い訳」ばっかりしてるわよ。

    いそがしいからできない

    やったことないからできない

    あの人ができないんだから、
    自分ができなくても仕方ない

    こんな性格だから、あんな事できない

    えっ?性格を理由にするのも劣等コンプレックスなのか?

    性格は変えられるからね。

    性格は変えられない、仕方ない、と思い込むのも劣等コンプレックスね。

    性格って変えられるんだな。
    知らなかったぜ。

    自分のことや自分の外の世界を、
    どのように解釈するのか?

    そんな価値観や世界観もふくめて、

    アドラー心理学では性格ではなくて、『ライフスタイル』と呼ぶのよ。

    ライフスタイル?

    話が長くなってきたから、今日はここまでにしておきましょうか。

    ライフスタイルの話を始めてしまったら終わらないからね。

    「性格は変えられる」って話はすごく興味あるぜ。
    ちゃんと教えてくれよな。

    もちろんよ。性格もライフスタイルも、わかりやすく解説するわ。

    劣等コンプレックスから抜け出す方法も、きっちり教えるからね。

    次回に進みます

    嫌われる勇気の徹底解説

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