今日のテーマ
今日から25回に分けて、アドラー心理学を解説していくわよ。
幸せに生きる為に必要なことを、わかりやすく実践的に伝えるわね。
なんか心理学って難しそうなんだぜ。
私でも分かる内容なのか?
大丈夫よ。
魔理沙でも理解できるように、なるべく専門用語を使わずに話すから。
そうなのか。幸せになれるのなら是非とも聞きたい話だな。
第1回の今日は、どんな話をしてくれるんだ?
今日のテーマはこれよ。
すべての悩みには他人が関係している
つまり、魔理沙が何かに悩んでいたら、その悩みには必ず『他人』が関係しているってことね。
それって本当なのか?
なんとなくだけど、他人は関係なくて、ひとりで悩んでしまう事もあると思うんだぜ。
そうね‥‥
いきなり結論だけ言っても分からないでしょうね。
アドラー心理学が最も重視しているのは『対人関係』なの。
人間のすべての『悩み・喜び』は、他人との関係から生まれるからね。
うーん‥‥
イマイチ納得できないな‥‥
ふふふ。
とても大事な話だから、順を追って説明していくわよ。
足りないから悩む
そもそもなんだけど、どうして人は悩んでしまうのかしら?
‥‥何か『困ること』があるから悩むんじゃないか?
じゃあ『困る』というのは、具体的にはどういう状況だと思う?
そうだな‥‥何かが『足りない』ってことだと思うぜ。
『お金』が足りないから、欲しい物が買えなくて困る。
『食べ物』が足りないから、お腹が膨れなくて困る。
『能力』が足りないから、やりたい事が出来なくて困る。
『魅力』が足りないから、イケメンが捕まらなくて困る。
最後のはどうかと思うけど‥‥
つまり言い換えると、こういう事になるかしら?
足りない物が無かったら悩みも無い
そうだと思うぜ。
すべてに満足していたら悩みなんて無いんだぜ。
そうよね、私もそう思うわ。
自分の中にある満足できない部分
それが『悩み』になってしまうのよ。
満足できない部分?
さっき例を挙げてくれたわよね?
『お金』が足りない自分
用意できる『食べ物』が足りない自分
『能力』が足りない自分
『魅力』が足りない自分
これらはまさしく『悩み』よね。
そうだな。
全部足りてたら悩んだりしない。
自分の中の、足りない部分が『悩み』になるんだな。
そういう事ね。
でも『魅力が足りない』っていうのは、相手の男を意識してるから対人関係の悩みに思えるけど、
『お金や食べ物が足りない』っていうのは自分だけの悩みじゃないか?
『お金が無い、腹減った』には他人は関係ないと思うぜ。
まぁそう感じるのが自然でしょうね。
ここで、アドラーの言う『対人関係』について掘り下げてみるわよ。
自分と他人を区別しよう
まずは『自分と他人』を、ハッキリと頭の中で区別するのよ。
『自分』はそのまま、魔理沙自身だと思えばいいわ。
『他人』とは、魔理沙以外のすべての人のことね。
家族や親友も同僚も『他人』になっちゃうのか?
関係の『濃い・薄い』はあると思うけど、自分以外の人は全て『他人』だと考えてね。
『あの人は赤の他人だけど、この人は他人だと思いたくない』
こんなふうに感情が混じってくるとややこしいからね。
わかったぜ。
自分と自分以外の人を、ハッキリと区別して考えるんだな。
そう。そして『対人関係』というのは、自分と、自分以外の人との関係のことよ。
そりゃそうだろう。
わざわざ回りくどく言い直すまでも無いんだぜ。
回りくどくても、ここはハッキリ切り分けておく必要があるのよ。
さっき、「お金や食べ物の悩み」は、自分だけの悩みじゃないかと言ってたわよね?
私にはそう思えるんだぜ。
「車が欲しいけどお金が足りないから買えない」
これは、他人との関係から生まれる悩みではないんじゃないか?
お金が足りなくて買えないってのは自分だけの問題で、他人は関係ないと思うんだがな‥‥
なるほどね。
そこらへんを もうちょっと掘り下げる必要があるわね。
他人と比べるから足りないと感じる
どうして車を買えないことに悩むのか考えてみましょうよ。
それは車が欲しいからじゃないのか?
欲しいけど買えないから悩むんだぜ。
じゃあ、どうして車が欲しいって思うのかしら?
うーん‥‥
その車を持っている自分に憧れるからじゃないか?
憧れるから欲しいと思う。
欲しいけどお金が足りない。
だから、お金が足りない自分に不満を感じる。
そんな感じよね。
その車を持つ自分が『理想の自分』になっているんでしょうね。
車を持っている『理想』の自分
車を買えない『現実』の自分
『理想』と『現実』の間にギャップがあるから悩んでしまう‥‥
そうだな、その通りだと思うぜ。
持っている自分に憧れてなかったら、買えなくても気にならないはずだ。
車なんて無くても生きていけるのに、そこまで欲しいと思うんだったら、
車を買った自分を、すごく誇らしくイメージしてそうだぜ。
ここで本題よ。
その車を持っているイメージって、どこから来たんでしょうかね?
その車を持っている『憧れる自分』のイメージ‥‥
もしかして『他人』か?
その車を持っている他人を、見たり想像したりして、理想の自分を作り上げるのか?
その通りよ。魔理沙。
買えない車を目の前にして、良いな~とか思っても、買えないんだったら普通はそのまま諦める。
でも、その車を持っている人は、この世のどこかに必ずいるのよ。
誰も買わないものは売られていない。
欲しいけど買えない車を、持っている他人がどこかにいる‥‥
なるほど。誰も買えなくて、誰も持ってなかったら簡単に諦められるけど、
持っている人がいるから、その人と自分を重ね合わせて、車を買った自分を想像できてしまうんだな・・・
自分には出来ないことを、出来てしまう他人がいる・・・
その他人と自分を比べてしまって、そのギャップが悩みになるのよ。
今日のまとめ
ここまでの流れを理解できたら、この言葉も納得してもらえるんじゃない?
すべての悩みは対人関係の悩み
カッコつけて『対人関係』なんて言葉を使うからわかりにくくなるんだ。
「他人と比べるから人間は悩むんだ」
この一言で済むんだぜ。
いきなりそんなこと言ったって、魔理沙は納得してくれないでしょ?
悩みが生まれる『流れ』を理解しないと、アドラーの言いたいことも伝わらないわ。
結局アドラーは何が言いたいんだ?
すべての悩みは他人との関係から生まれるから、他人との関わり方をもっと意識しよう
対人関係を真剣に考えよう
こんな感じかしらね。
ふむ。まぁ理解は出来たんだぜ。
この世に自分しかいなかったら、比べる対象が無いんだから、そもそも『足りない』なんて思わない。
他人と比べるから、差ができて、足りないと感じ、それが悩みになる。
自分だけで悩んでるつもりでも、心のどこかで他人と比べてしまっているんだな。
‥‥なんか適当にまとめられてしまったような気がするけど‥‥
でも、その通りね。
特に生活に困っているわけでもないのに、なぜか自分が負けているように感じてしまう‥‥
それは自分より金持ちな人と比べているからよ。
実際にそんな金持ちが近くにいなくても、想像できてしまったら、いるのと同じなの。
毎日ニュースで目に入る有名人たち。
世界中の名立たる成功者。
過去の偉人たちとも、すべて比べちゃうのよ。無意識にね。
‥‥知ってる『他人』は、すべて比較の対象になっちゃうんだな。
‥‥なるほどな‥‥
アドラーが『対人との関係』を、とても大事に考える理由はわかったぜ。
対人関係がすべての『悩み』を生み出す、ということは、
対人関係がすべての『喜び』を生み出す、ということでもあるのよ。
他人との関わり方を変えれば、悩みを喜びに変えることも可能よ。
もっとアドラー心理学を知りたかったら、次回の『トラウマ』の話に進んでみてね。
次回に進みます