1分で読める今日のまとめ
他人と意見が合わずに衝突する時
自分から歩み寄っても関係が改善しない時
たいていの場合、人は、関係が良くならないことを相手のせいにします。自分を守る為に、相手の方に原因があると考えてしまいます。
これは自分は間違ってないと思う為に、相手を悪者に仕立て上げようとする心の仕組みです。
この仕組みに流されてしまうと、視野が狭くなり、相手の悪い所ばかり探してしまいます。
「視野狭窄」と呼ばれる状態です。
相手との関係改善を望めない状態です。
視野狭窄から逃れるためには、相手がいなくなったら困ることを想像して下さい。
いなくなったら困ること。
つまり、いてくれて助かることは、そのまま感謝の気持ちになるので、それを伝えましょう。
そして、どうしても、歩み寄ってくれない場合は・・・
関係改善をあきらめることも必要になります。
課題の分離とは?
前回のおさらい
前回は、苦手な年上の部下・Aさんの話をしたけど、あまりうまくいってないみたいね。
そうだな‥‥
霊夢にアドバイスをもらって実行してみたんだが、相変わらずだぜ。
やっぱり魔理沙の言うことを聞いてくれないの?
こっちから歩み寄ってコミュニケーションを取ろうとしたが、なかなか受け入れてもらえないな。
聞く耳を持たないって感じかしら?
そう。だんだん腹が立ってきたぜ。
なかなか手こずってるみたいね。
前回に私が言ったことは実行してくれたのね?
相手に変わって欲しいと思うなら、まずは自分が変わらないといけない。
Aさんを避けていた自分から、積極的に関わっていく自分に、変わらないといけない。
やってみたつもりなんだけどな‥‥
魔理沙は理解が早いから、ちゃんとやったんだと思うわ。
相手の立場で考えることが出来ないと、ひとりよがりな接し方になってしまうわよね。
相手の立場を想像するには、まずは相手を知らないと始まらない。
そうだったな。
相手を知るためには避けていてはダメね。積極的にコミュニケーションをとらないとね。
理解はしてるつもりだぜ。
相手を知る努力をしたんだがな‥‥
だけど、そんな努力も、相手に拒絶されちゃったら終わりじゃないか?
なるほどね。私も伝えきれてないところがあるわね。
じゃあ、もう少し踏み込んで話すわ。
そして、どうしても拒絶してくる相手への対処法も伝えときましょうか?
それは聞いておきたいぜ。
私の行動に足りないものがあるなら、それを知りたいし、どうやったって無理なケースもあると思うんだ。
わかったわ。
答えを先に言うと、魔理沙に足りないのは「感謝の気持ちに目を向ける」という行動なのよ。
これがキッチリ理解できるように解説するわね。
どんな気持ちで歩み寄っているか
魔理沙はさっき、こう言ったわね?
「だんだん腹が立ってきた」
言ったな。
Aさんの為を思って歩み寄ってるのに、聞く耳を持たない感じだからムカついてきたんだ。
魔理沙の気持ちはわかるわよ。
年齢を意識して、やるべきことをおろそかにしているのはAさんだからね。
そうだ。仕事に年齢なんて関係ない。
私もAさんも、やるべきことはやらないといけないんだぜ。
それが『課題の分離』だったわね。
魔理沙の課題は、年齢を気にせず、出すべき指示を出すこと。
Aさんの課題は、年齢を気にせず、上司である魔理沙の指示を聞くこと。
そうだよな。ベストな指示かどうかはわからないが、私なりにちゃんと考えて指示を出してるつもりだ。
うん。魔理沙は自分の課題に、ちゃんと向き合っているとするわよ。
腹が立つのは、Aさんが自分の課題をおろそかにするからね?
そうだと思うぜ。
私が年下でも、言うことを聞いてもらわないと困るんだ。
腹が立つのは「自分の方が正しい」と思うからじゃない?
そりゃそうだぜ。やるべきことをおろそかにしているのはAさんだ。
私が正しくて、Aさんが間違ってる。
そう言いたいのね?
そうだな。
残念ながら、それでは課題の分離をした意味が無くなっちゃってるわ。
自分が正しいと思ったら終わり
「自分の方が正しい」と思った瞬間から、相手の課題への介入が始まる。
相手の行動を正したくなる。
この状況が続いたら、魔理沙は怒って強制する道を進むわ。
もしくは完全に敵対して、無視するしか無くなっちゃう道ね。
自分と相手の課題を切り分けて、相手の課題には介入しないのが課題の分離だよな‥‥
「自分の方が正しい」と思った時点で、課題を分離した意味が無くなってしまうのか‥‥
課題を分離するのは、自分と相手の人生を切り分けるためよ。
なぜ切り分けるかというと、「どっちが正しいか」みたいな不毛な競争から抜け出すためね。
自分の人生と相手の人生は、
違ってるだけで同じ価値なんだ。
こんなふうに再確認するのが『課題の分離』という行動なの。
なるほどな‥‥‥
競争しないように、せっかく分離したのに、私は戻してしまったんだな。
「どっちが正しいんだ?」って競争しちゃう状態に‥‥‥
魔理沙は自分が正しいと思っている。
Aさんも自分が正しいと思っている。
正しいと思うことが似ていたら、問題なく一緒に行動できるけど、魔理沙とAさんは違うわよね。
たしかに。正しいと思うこと、つまり『価値観』が違うから、うまくいかないんだろうな。
魔理沙がどんなに間違ってると感じても、Aさんにとっては、それは正しいことなのよ。
「お前が間違ってるんだ!」なんて言っても、「うるせぇ!」みたいなリアクションしか返ってこない。
・・・だろうな。
お互いが自分の価値観を主張するだけでは、いつまでたっても平行線で近づけないわ。
そうだな。だから私は歩み寄ったつもりなんだけどな。
相手の事を知ろうとしたり、言葉遣いに気を付けたりしたんだぜ。
そうね。近づきたかったら、歩み寄らないといけない。
じゃあ、どこを目指して歩み寄るんでしょうね?
それは、相手の価値観を目指して歩み寄るんじゃないのか?
方向はそれで合ってるわ。
でも、相手の価値観に合わせたら、自分の課題がおろそかになるわね。
そうか。私がAさんの価値観に、完璧に合わせてしまったら、
Aさんは私の指示を聞かなくて良い、って事になってしまうな。
じゃあどうしたらいいんだ?
相手に合わせず、自分にも合わせてもらわず、中間地点を目指すのよ。
中間地点?
完全に、相手に合わせるのは服従よ。
自分のやるべきことがおろそかになるし、自由を失う。
ふむ‥‥
逆に、自分に合わせるように強制をしたら介入ね。
相手が自らの課題に向き合うチャンスを奪ってしまう。
なるほど。だからお互いに、中間地点を目指さないといけないのか。
お互いが、主張の半分を譲り合えば、衝突は起きないはずよね。
言ってることはわかるが、なんか都合良い話だし、抽象的すぎるんだぜ。
具体的には何をすればいいんだ?
相手の価値観を尊重する
お互いに譲り合う状況を目指すなら、2つの事を考えないといけないわ。
どうやったら、相手の価値観を尊重できるのか?
相手が全く歩み寄って来ない時は、どうしたらいいのか?
ふむ。まずは価値観の尊重の仕方を教えてくれよ。
わかったわ。
課題の分離をした後は、相手の立場で考えて行動するんだったわね?
そうだな。私はそうしようとして、途中で腹を立ててしまったぜ。
相手の立場で考える為に、相手を知ろうとする段階でつまづいた感じね。
魔理沙は腹が立った。
それは『視野狭窄』と呼ばれる状態に陥ってしまったからよ。
「しやきょうさく」って、なんか聞いたことあるな。
そのまんま「視野が狭くなる」という意味ね。
簡単に言うと、相手の気に食わない所ばかりに目が向いてしまう状態よ。
なんとなく実感あるかも‥‥
他人との関係がうまくいかない時、人間は他人のせいにしてしまう。
自分を守ろうとする心の仕組み上、どうしてもそうなってしまいがちね。
・・・
そして「自分は悪くない」と思う為に、相手の悪い所を探そうとする。
自分を守る為に、「相手が悪い」と思う為に、悪い所ばかりに注目して、視野が狭くなる‥‥
‥‥たしかに、Aさんの悪い所ばかり考えてたかもしれないぜ。
「自分の方が正しい」と思えるような、証拠を探す感じね。
この状態になってしまうと、相手の立場を尊重するのは難しくなるわね。
悪いところばかり探してたら、ますます嫌いになるだけだぜ。
何か、視野狭窄から抜け出すコツみたいなものは無いのか?
あるわよ。私が他人への不満ばかり考えてしまう時‥‥
つまり、視野狭窄を自覚した時に、実際に使ってる対処法よ。
いいな、それ。教えて欲しいぜ。
感謝の気持ちに目を向ける
魔理沙が自分で気づくまで待とうと思ってたんだけどね。わかったわよ。
「相手がいなくなったら困ること」
まずはこれを考えるのよ。
Aさんがいなくなって困ること‥‥
その困ることがわかったら、それはそのまま、『相手への感謝の気持ち』になるはずよ。
「いなくなって困る」ということは、「いてくれて助かる」ってのと同じ意味だもんな。
そうそう。視野狭窄に陥ってる時は、相手への感謝の気持ちなんて、どこかに吹き飛んでしまっているわ。
見えなくなってる部分に目を向ける為に、相手がいなくなったらどうなるか想像するのよ。
そして、感謝の気持ちを掘り起こすんだな?
そうね。いきなりAさんがいなくなったら、困ることってあるでしょ?
うーん。いきなりいなくなったら、仕事をまわすのが大変になるな。
私の指示はおろそかにする時があるけど、言われなくてもトラブルを自分で解決したりしてるみたいだ。
同僚のフォローもしてるな。
悪いところばかり探してる時は、そういう良いところは見逃されるのよ。
たしかにそうかも。腹を立ててた時は、Aさんがいて助かってる部分には全く注目してなかったな。
いなくなったら困ることを想像して
感謝の気持ちに目を向ける
これをやるだけでも視野は広がるわ。
実際、私も毎日のように実践してる。
そんな頻繁に?
仕事や人間関係で、ストレスがたまった時なんかは特にね。
不満ばかり考えちゃう時は、おかしな考えに陥らないように実践するわ。
なるほどな。視野が狭くなることを前提で考えてるんだな。
視野狭窄は心の仕組みだからね。
本能みたいなものだし、未熟な私がそうなるのは仕方ないのよ。
「Aさんに感謝する」なんて発想はなかったぜ。
視野を広げて、ちゃんと良いところも見ないといけないな。
できれば、その感謝の気持ちを伝えられるといいんだけどね。
そうだな。無理にコミュニケーションを取ろうとするより、そっちの方が自然に出来る気がするぜ。
ありがとうって伝えるだけだもんな。
あきらめても良い
価値観を尊重する話は終わったから、最後の話題に移るわね。
相手が全く歩み寄って来ない時は、どうしたらいいのか?
忘れてたぜ。
それも聞いておかないと。
これは簡単よ。
どうやっても相手が歩み寄ってくれない時は、あきらめるしかないわね。
えーー? なんかえらくあっさりしてるんだな。
どうやったって無理な場合もあるわ。
魔理沙も、ひとりの部下に振り回され続けるのは困るはずよ。
そりゃそうだけどな。
さっき話したことを思い出して。
相手に合わせず、自分にも合わせてもらわず、お互いに中間地点を目指して譲り合うのが理想だったわね。
覚えてるぜ。難しいのは『中間』ってところだな。
私だけが譲って、歩み寄ってもダメってことだよな。
そう。お互いにとって良い関係を続けようと思ったら、お互いが相手を尊重しないといけない。
Aさんを対等な存在として尊重して、Aさんの言い分も聞き入れて、
それを踏まえて、二人の間の妥協点を提案しても、どう反応するかはAさんの課題・Aさんの自由よ。
提案を拒否するかもしれない。
私の言う事を聞くかどうかはAさんの課題だもんな。
強制しても根本的には解決しないな。
魔理沙の人生なんだから、魔理沙の好きなように生きればいいの。
魔理沙がどうしてもイヤになったら、関係改善をあきらめてしまえばいい。
その時は、嫌われる勇気を持って、魔理沙の課題に集中する。
相手の年齢や反応を気にせずに、出すべき指示を出す。
嫌われる勇気か‥‥
もちろん、あきらめるのは、お互いの為に努力をした後よ。
それはわかってるぜ。
私の場合は、まだ二人の間の妥協点を、提案する事も出来てないからな。
まずはAさんがいなくなって困ることを、たくさん想像してみるぜ。
それからどうしましょうか?
その後は、感謝の気持ちを、簡単に伝えてみようかな。
もしコミュニケーションが取れるようになったら、Aさんの立場で考えて、
Aさんにも、私にもプラスになるような、妥協点を探ってみるぜ。
その意気よ。
上司からそんな接し方をされたら、私だったらすごく嬉しいわ。
オマケ
指示の出し方のアドバイス
何か、他にアドバイスは有るか?
そうね‥‥ 指示の出し方は考えた方がいいかもね。
「やってください」って言うより、
「やってもらっていいですか?」
「任せてもいいですか?」
みたいな疑問形にして、返答をもらうのがいいかもね。
なるほど。アドラー的に考えると、強制ではなく提案するんだもんな。
それと、指示を出すときは、必ず理由を添えましょうね。
「~~ が~~ なので、
~~ を任せてもいいですか?」
みたいな感じでね。
そうすれば、その理由の為にやるっていう雰囲気が生まれるわ。
魔理沙の指示に従うというニュアンスが薄まって、Aさんも受け入れやすくなるんじゃないかしら?
Aさんの立場で考えたら、その方がいいかもしれないな。